幻のMoonbowを探せ!! ピックアップトラックのアメリカ冒険旅行 Day2後編 

ヨセミテったらなんたって夕焼けである。
日暮れ間近になると太陽の光が優しくなってきていろいろなものが美しく見えるようになる。

ヨセミテの夕日に感動する

カリフォルニアの夕焼けはメッチャきれいなオレンジ色。それがヨセミテの巨大な岩山を照らす。
素晴らしすぎて言葉にならない。

夕日に染まる岩山を見て感動し、周囲は完全に暗くなった。
でもまだ帰らない。今回は夜こそがこの旅の目玉なのだ。

実はこの時期(6月)、ヨセミテは雪解け水が増えて大きな滝がいくつもできる。
そこに月がのぼって強い月の光が注ぐと、夜なのに虹がかかるのだという。
これをMoonBowと言う。
で、月齢は・・・調べてない。
どうせ行けるのは今日だけだったから、月がどんな状態でも行こうと決めていたのである。
現場で月が上がってのお楽しみ、のはずであった。ところがだ。
「今日は新月ですよね」とY太郎が突然言う。ロマンもヘッタクレもありゃしない。
「ああそうですか」と、憮然として答えるオレ。
「日本で、ちゃんと調べてきましたから」と更に追い討ちをかける。首を絞めてやろうかと思ったが、でもこういう時のことだって考えてある。
月がなければないで、ここはメチャクチャに星がきれいなのであった。

空一面の星をカメラにおさめる

クルマを渓谷の谷間に駐車し、星空とリッジラインを撮影する。といっても新月だから明かりは皆無。
ストロボを使うしかない。シャッタースピードを遅くして、クルマの周囲を走りながら、何回にも分けてストロボを発光させて、最後にY太郎の顔に向けて一発。これで星空を見上げる写真の出来上がりである。
しかし、簡単に成功するはずもなく、何十回もやり直し。
写真のことを知らないY太郎に任せられないから、自分で全部やるしかない。
疲れて来た頃、「頑張ってくださいね」という他人事な声援で、ちょっとムッとする。
結局ここで深夜1時まで粘った結果がこれ。まあまあかな。

てもここでノンビリしてはいられない。実は明日、早朝から飛行機のトレーニング(しかもアクロバット)なのである。
飛行場があるリバモアは、ここから4時間もかかる。睡眠不足に疲れ果てた体で、アクロバットに耐えられるのか? なんていいながら帰り道を急ぐ。
最短距離として選んだのは長い長いワインディングであった。

ここでリッジラインが本領発揮。さすがホンダのトラック、本気だすと速い。トラックがこんなスポーツ性を持っているとは思わなかった。時差ぼけも遊びまくった疲れも、すべて吹き飛び、夢中になってしまった。
「速いっすね、このクルマ」
「おおそうだろ」なんて調子良くすっ飛ばしていると時々リスやウサギが目の前を横切る。
「動物がいますよ」
「ビックリして急ハンドルで避けようとすると大事故になるから、避けられないと思ったら、そのままいっちゃうしかないんだよ」
「なるほど、可哀想だけど人間の命の方が大事ですもんね」そんなことを話していたときの事である。
「ぶつかるー!」
「ぎゃああ!」
突然前に現れたのは特大のシカであった。
ギリギリでなんとか回避。
「そのままいっちゃうんじゃなかったんですか!?」
「馬鹿、あんなのに突っ込んだら偉いことになるぞ。まったく危ねぇなあ」
「いや、危ないのはクルマでスピード出しているコッチだと思いますよ」
「確かに」
波瀾万丈の峠を越え、見知らぬ街のモーテルに飛び込んだのは深夜3時のことであった。

文 後藤武(CarBe/MotoBeアドバイザー)

※この記事はホンダスタイル誌に掲載されたものを加筆修正したものです。

遊ぶメモ Moonbowはいつ観れる?
MoonBowが観られるタイミングは決まっている。雪解け水でヨセミテフォール(滝)の水量が増えて水しぶきが飛んでいる夏前。(夏になってしまうと滝が枯れてしまう) もちろん月は重要。満月を狙っていくことが望ましい。
この動画はMoonbowの様子を紹介しているもの。映像なのでわかりにくいが実際には夜空に虹がかかると非常に幻想的な光景が広がる。